ビジネスの観点は、現在流通している第2世代のITIL で 最後に出版された2冊の本で構成されています。今回は、先に リリースされた 「サービス提供におけるISからの視点」を紹介します。
この本は、ビジネスとサービスプロバイダの連携というテーマを一貫して扱っています。 ビジネス・ニーズに沿った高品質なサービスを優れた費用対効果で供給するためには、 サービスプロバイダとビジネスが戦略、戦術、運用の各レベルで整合性を取らなければ なりません。
しかし、実際にそれを実践するとなると数多くの困難が待ち受けていることは、 容易に想像することができます。ビジネスの観点は、ISとビジネスが一体となる ためには、すべてのビジネス機能の達成目標と成果物の整合性をとるような管理 フレームワークが必要であると主張しています。
このフレームワークの一例は、IS運営グループ(ISG)と呼ばれる共同の調整機関です。 この機関は、さまざまなビジネス領域とISの上級管理職で構成されます。このメンバーは 定期的にミーティングを行い、ビジネスとISの計画および戦略の両方をレビューして、 可能な限り密接な整合性を確保するように調整します。
ISGは、ITに関する総所有コスト(TCO)、投資利益率、計画立案に 責任を負い、すべてのサービス改善活動に方向性を示すことが求められます。 ISGはビジネスとISのあらゆる連携に関して協議する権限を持ち、次のような議題を話し合います。
第5章 ビジネスの視点の理解では、ビジネスがISが供給するサービスをどのように 見ているかを理解する必要性を訴えています。顧客の観点の理解は口にすると単純で賢明な 達成目標でも、達成するには広範囲にわたる多大な努力が必要であり、日常的に維持するには それを上回る努力が必要です。
ビジネスの視点に注意して行動しているかどうかを確認するポイントをサービスレベル管理から 取り上げてみましょう。
この本の中には、サービスデリバリやサービスサポートの各所に 散りばめられているビジネスの視点に関する考慮点がプロセスごとに整理されており、 改めて確認することができます。
第7章 サプライヤ関係管理では、ビジネスの重要度に基づいたサプライヤとの関係 の管理方法について説明しています。組織のビジネス上の利益のために、サプライヤとの連携 の最適化を図る際の考慮点が示されています。