その形が魚の骨のように見えるために、 フィッシュボーン・ダイアグラム と呼ばれている石川ダイアグラム は、 他にも、特性要因図やツリー・ダイアグラムといった呼び名があるそうです。 どのような呼び名であれ、日本の研究者が開発した原因分析手法が、 世界的に認められ、利用されていることは、我々も同じ日本人として誇らしい気持ちにさせてくれます。
石川ダイアグラムは、次のような段階を踏んで問題の原因を分析していきます。 ここでは、評判の悪いタクシーのサービスに対する分析を試みてみましょう。
石川ダイアグラムは、問題の原因を視覚的に表現するので、 文章による説明だけでは伝えにくいこともありますが、 頭の中で想像していただければ幸いです。
① 「魚の頭」に当たる部分に、解決しようとしている問題を記入する
このケースでは、「魚の頭」に「不評なタクシー・サービス」と記入します。
② 主な原因をカテゴリ化し、魚の枝骨の先端に書き込む
次に「魚の背骨」を描き、そこから「4つの枝骨」を分岐させ、その先端に、 「運転手」、「プロセス」、「自動車」、「環境」と記入します。
③ 想定される原因を、該当するカテゴリの骨を枝分かれさせた先に書き込む
「運転手」の枝骨には、「運転技術」、「交通知識」、「親切さ」など、 運転手に属する想定原因を、さらに枝分かれさせた先に記入します。
「プロセス」には、「接客手順」、「接客態度」、「迎車の到着時間」な、 プロセスに属する想定原因をを記入します。
「自動車」には、「たばこのにおい」、「不清潔さ」、「乗り心地」など、 自動車に属する想定原因を記入します。
「環境」の枝骨には、「交通渋滞」や「快適なバス・サービス」など、 外部環境に属する想定原因を記入します。
④ できあがったダイアグラムを解釈する
経験や調査から得られた情報に基づいて、洗い出された想定原因から、 上位の原因をランク付けすることによって、根本原因が何かとか、 どのカテゴリに原因が集中しているかなどの傾向を把握することができます。
このように、問題の原因を体系的、網羅的に抽出し表現できること、 ブレインストーミングと組み合わせることで、 自由な発想で問題の根本原因を洗い出せることなどが、 この技法の優れた特徴だと思います。
すべての問題が1つの根本原因によって引き起こされるとは限りません。 ダイヤグラム解釈のフェースでは、 調査、診断、事実の確認やアンケートの調査結果に基づいて、 抽出した想定原因にランク付けを行い、 真の原因を包括的に捕える必要があるかもしれません。
次回は、2014/1/25の予定です。