ITIL 徒然草

サービスマネジメント導入計画立案


『サービスマネジメント導入計画立案』は表紙の色から緑本と呼ばれています。 この本には、ITIL が定義するサービスマネジメント・プロセスを導入する際の 考慮点が、系統立てて記されています。

サービスマネジメント・プロセスそのものではなく、それらの 導入プロセスに焦点を合わせている点において、 ITIL の書籍の中では異色の存在です。

この本の中で繰り返し強調されている概念は、 継続的サービス改善プログラム (CSIP:Continuous Service Improvement Programme) です。 次に示すサービス改善活動を継続的に繰り返し実行することが必要であることを 訴えています。

第2章「ビジョンは何か?」 - ビジョンの設定
第3章「我々はどこにいるのか?」 -  現状の評価
第4章「我々はどこを目指すのか?」 - 測定可能な目標設定
第5章「どのようにして目標を達成するか?」 - プロセスの改善
第6章「マイルストーンへの到達をどのようにして確認するか?」 - 実績測定
第7章「どのようにして推進力を維持するか?」 - 推進力の維持

プロセスのパフォーマンスを評価する基準を検討する際には、第6章に整理されている 各プロセスの重要成功要因(CSF:Critical Success Factor) 重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)が参考になります。

ITIL をどのように導入していくかを検討している方には、付録E として 掲載されているサービスマネジメント導入の実際的なアプローチを一読される ことをお奨めします。

サービスマネジメント導入に対する普遍的な「正道」は存在しない
と断りつつ、 導入手段の選択肢を解説を交えながら提示しています。

この付録の中で最も興味深い助言は、ITILプロセスの導入を公にせずに実施 すべきではないという忠告です。

- 努力の結果が限定的であること
- 突発的な環境の変化に耐えられないこと
- 経営陣や他の組織からの支援が得られないこと

などが主な理由です。非公開の活動は関係者に欲求不満を抱かせ、結果的にすべての利害関係者 の支持を失うと主張しています。

第12話 第14話