彼を知り己を知れば百戦殆うからず
という中国の有名な故事がありますが、ITIL の実践においても まずは自分を知ることが重要です。
サービスマネジメント導入計画立案の「第3章 我々はどこにいるのか?」 には、自分たちがどのような状況に置かれているかを理解することの重要性が 述べられています。
一般にアセスメントと呼ばれ、業務改善の初期段階に行われるこの活動には、 インタビューやベンチマーク、あるいはアンケートなど様々な方法があります。 アセスメントではITサービスやプロセスの実体を把握するだけでなく、利害関係者を 識別することも重要です。
ITやプロセスの変更には、直接的な利害関係者以外にも 間接的に影響を受けるプロセスや関係者が存在することも多く、 改善活動を開始すると想像以上の困難に出会うことがあります。 そのようなリスクをできる限り軽減するためにも、業務とITの関係や組織を熟知 しているメンバを招集し、利害関係者とその利害を特定します。
計画立案の段階で利害関係者とよく話し合い、改善活動に参画して もらうことが、計画の実行をより容易なものにしてくれます。
自分を知る段階でもう一つ忘れてならないのは組織の文化です。組織の文化は、 時間をかけて定着してきた従業員の考え方や行動パターンです。 計画されている変化がその組織の文化にどのような影響を与えるのか、 あるいは逆に計画がどのような影響を受けるのかを予測する必要があります。
組織の文化に善悪をつけることは簡単ではないし、またその必要もないかも 知れません。ただ、あらかじめ予測される障壁に十分に備えることに越した ことはありません。
最後に、サービスマネジメント導入計画立案に記されている 一文をご紹介します。
継続的サービス改善プログラム(CSIP) 成功の結末への道に立ちはだかる 唯一のものが、人である場合が非常に多い。