アプリケーション管理機能もまた、ITIL バージョン3で具体的に言及されるようになったサービスマネジメントの機能です。しかし、書かれている内容の多くはバージョン2のアプリケーション管理でカバーされています。どちらの版でも、アプリケーションは開発と運用に分けて考えるのではなく、アプリケーション・ライフサイクルの中で一貫して整合性のある管理が必要であると主張しています。
技術管理機能の目的は、ITサービスを支える専門技術の知識や技術を保有してリソースを供給することでした。アプリケーション管理機能もまた、焦点を当てる分野が異なるだけでまったく同じ役割を担っています。すなわち、ITサービスを支えるアプリケーションの知識や技術を保有すると同時に、ITサービスマネジメントを支援するリソースを供給するという目的があります。
従来、アプリケーション開発チームは、顧客が求めるアプリケーション機能の構築に焦点を合わせていました。アプリケーション開発をサービスマネジメントの世界に取り込むためには、以下の変化が必要です。
一言で言えば、開発と運用の垣根を取り除くということです。しかし、開発と運用では求められるスキルに大きな違いがあり、2つの機能を一つの組織に割り当てることは特殊なケースを除いて現実的ではありません。ですから、アプリケーション管理機能が複数の組織に組み込まれることを前提にして、以下の努力が必要になります。
責任の明確化
ビジネスに対する単一のインタフェースを、アプリケーションの全段階を通じて提供します。つまり、 アプリケーションに対する責任者を任命し、要件定義から廃棄されるまで責任を持たせます。
開発側の運用への関与
設計や開発に起因する運用時の不具合に対する開発チームの責任を明確にする必要があります。開発チームにはプロジェクトが終了した後でも、何らかの形で説明責任を果たさせる仕組みを工夫します。
運用側の開発への関与
保守運用チームの経験は、アプリケーションの設計にフィードバックすべきです。 保守運用のスタッフが、管理性を向上させる要件をアプリケーション設計に反映させる活動を評価する仕組みが必要です。
同一の変更管理
開発と運用における変更は、同一の変更管理下に配置します。開発段階における機能性や運用性の変更は、運用側にも知らされ意見を述べる機会が与えられるできです。運用段階におけるあらゆる変更は、開発側にフィードバックされなければなりません。
初期段階での統合
プロジェクトの早い段階で、機能性と運用性のどちらの要件も検討され統合される仕組みを確立します。
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